前を向くブログ

書き続ける。

『インモータルズ 神々の戦い』

@ユナイテッドシネマズ豊洲

ギリシア神話をもとにしたアクション残酷映画。もとにした、も言い過ぎかもしれない。ギリシア神話から登場キャラクターたちの名前と設定を借用してきただけというかんじ。テセウス、ハイペリオン、ゼウス、アテネ、ポセイドンなどが登場するが…うーむ、神話に感化された中学二年生の考えたゲーム設定を、お金をかけて映画にしました的なもの。

3D映画だが2D上映を見た。おそらく血しぶきや身体の一部がこちら側に飛んでくるのだろう。2Dで正解だった。残酷、暴力シーン多数なので苦手な人には全くオススメしない。残酷・暴力描写の必要性が全くなかったうえに、さらに言うとギリシア神話の必要さえなかったのではないか。ギリシア神話ものなら、タイタンの戦いの方がはるかにマシ。まああの映画も3Dの意味は全くなかった点は同じだが。

公式サイト

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いちばん良いのはギリシア神話そのものを読むことかもしれない。それぞれの登場人物の見た目は自分でイメージしよう。
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『アイアンマン』『インクレディブル・ハルク』

@(iTunesレンタル)
 iTunes Storeの映画レンタル機能を使ってタイトルにある映画2本を見てみました。iTunesで映画レンタルを選択するとダウンロードが完了してから30日間視聴可能、ただしいったん見始めたら再生ボタンを押してから48時間以内に見終わらないといけません。つまりその後はレンタル期間の30日間を過ぎていなくても見られなくります。48時間以内なら何度でも見られます。PC上のiTunesでレンタル商品を購入し、iPhoneやiPadに転送して見ることも可能。iPhoneやiPadから直接買うこともできるようですが試してません。無線接続のスピードを考えると、PC上で購入しUSBケーブルで転送した方が早い。出先で突発的に映画を観たくなったらやるのかもしれませんが、観たいと思ってから観始めるまでの時間がネットワークのスピードに依存するので、特に列車での移動中などあまり現実的でない気がします。事前に家で準備していくことになるのでしょうね。
 実際に使ってみて、Windowsマシン上ではちょくちょく画像が止まるのが気になりました。僕のPCはOSはXP、CPUはCore2 Quad Q6600 2.40GHz メモリは3.49GB(32ビットなので)で、グラフィックボードはGeForce GTS 450というものです。それほど低いスペックでもないと思うので、たぶん常駐ソフトとかの関連で止まったんだろうと思います。iPadでも観てみましたがそれなりに快適。Windowsマシンであった動画ストップが一度もありませんでした。ただしヘッドフォンをつけて小さな画面を覗き込む、と言うスタイルで映画をあまり観たくありません。これから先実際にそのスタイルで観る機会があるかどうかは不明です。


*参照: iTunes Store:映画レンタルに関してよくお問い合わせいただく質問 (FAQ)

さて、今回この2本を選んだのには理由があります。先日『キャプテン・アメリカ』を観ました。その最後でマーベルコミックヒーローキャラクター総登場の続編『アベンジャーズ』が予告され、そこにはソーやアイアンマンがいました。僕はアメコミ自体はほとんど読んだことがありませんが、アメコミ原作のハリウッド映画が好きなので、iTunesのレンタル機能を試すついでに劇場公開時には見なかった関連映画を観ようと思い立ったのでした。

『アイアンマン』
http://itunes.apple.com/jp/movie/id424789822

兵器産業のトップが、自社の売った兵器で人が殺しあっていることを戦場で再認識。兵器製造からは手を引くが、自身が誘拐されたり脱出したりした経験も手伝って強化スーツを開発。それを使って自らの手で世界を平和に、と意気込んでいるが結局戦ってることには変わらないという『ダーク・ナイト』でも露わになったパクス・アメリカーナの理想と現実をコンパクトにまとめた作品。

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『インクレディブル・ハルク』
http://itunes.apple.com/jp/movie/id399573339

科学者が自らの身体で行った実験で怪力モンスターに変身。その技術を軍事利用したい米軍と、軍事利用を避けたうえでもとの身体に戻りたい科学者の追跡劇。主役と恋人の変わらぬ愛情が大きなテーマだと思われる。主演エドワード・ノートンの無駄遣い感が強い。プロレス・格闘技ファン的には、ヒクソン・グレイシーが出演している点に注目か。
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 最近はDVDのパッケージはデラックス仕様で、画質を求める人はBlu-rayでという感じなんですかね。

『ゲーテの恋 〜君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」〜』

@TOHOシネマズ シャンテ

毎月1日は映画サービスデー。映画を1000円で観られる日だが、そんなこととは関係なく公開されたらできるだけ早く観ようと思っていた映画だ。公開は先週末の10月29日から。

『アマデウス』で描かれたモーツァルト、また最近では同じ監督による『ゴヤ』、さらにはフェルメール、カラヴァッジョ、シューベルト…映画化された芸術家たちはみな「物語」を書く人々ではなかった。芸術家が作品を作ることになった動機、同時期に起きた歴史的事件、作品によって芸術家が個人的な課題をどう乗り越えたかが映画の中で物語化されて映像となる。『恋に落ちたシェークスピア』では、『ロミオとジュリエット』がシェークスピアにとっての私小説な作品であったという仮定のもとに描かれて成功をおさめた。これはシェークスピアがその作品以外は謎に包まれた人物であるからこそできたことだ。

ゲーテの場合はどうだろう。ゲーテは"たった"250年前の1749年から1832年までを生き、自筆の手紙も日記も残っている詩人だ。ゲーテの人生は研究者たちによって朝食から散歩コースまでが明らかにされていて、創作される余地がない。それでもどれかゲーテの作品をもとに、ゲーテそのものを描こうと考えたとき、それにうってつけのというよりはそのために存在しているような作品『若きウェルテルの悩み』が思い当たる。『若きウェルテルの悩み』はゲーテが自らの経験をもとにして書いた作品だからだ。映画に登場するシャルロッテやケストナー、イェルーザレムは実在の人物で、ゲーテは彼らとの思い出を『若きウェルテルの悩み』の中に描いた。しかし、映画の中に描かれる彼らも、『若きウェルテルの悩み』の中に書かれる彼らも、実際の彼らとは多くの点で違っている(あるいは正確に描いていることもあり得るが)。この映画は「歴史」を原作とし、『若きウェルテルの悩み』を参考文献として作られた、一つの作品として見応えがある。鑑賞にあたっては『若きウェルテルの悩み』もゲーテの伝記も読んでいなくても、18世紀後期の青春物語として十分楽しめるだろう。ただ、本当にゲーテに関して何も知らずにただの青春物語として観た場合に、面白いと思うかどうかは保証できない。「どこかで見たことがある」「聞いたことがある」と思うかもしれない。なぜなら『若きウェルテルの悩み』は「そういう話」の元祖だからだ。 未読の方は是非一度読んでみてほしい。

ところで『若きウェルテルの悩み』の原題は"Die Leidenschaft des jungen Werthers"だ。長年「悩み」と訳されているLeidenschaftは「情熱」という意味合いの方が大きい。字幕に「情熱」という言葉が多く登場するが、ドイツ人の観客はその単語を聞くたびに映画の結末で明かされるであろう小説のタイトルを連想していたに違いない。ちなみに英語での定訳は"The Sorrows of young Werther"だ。英語圏では「若きウェルテルの悲しみ」と認識されているのも興味深い。

若きウェルテルの悩み (新潮文庫)
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若きウェルテルの悩み (岩波文庫)
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以下、関連文献

映画内で重要な位置づけを担うレッシングの戯曲。これもドイツ文学においてはたいへん重要な作品ということになっている。知っていて損はない。短いのですぐ読み終わる。劇中ではシャルロッテお気に入りの作品ということになっている。悲恋もの。

エミーリア・ガロッティ ミス・サラ・サンプソン (岩波文庫)
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ところで、ゲーテの自伝『詩と真実』の原題は"Dichtung und Wahrheit"である。Dichtungは詩を作るという名詞で「詩作」とか「詩」と訳される場合が多いが、広く「文学」そのものを指すこともある。映画の最後でロッテが出版社の男性と、『ウェルテル』について言葉を交わすのだがそこでWahrheitとDichtungの関係について話している。なかなか良い場面なのでドイツ語学習者はがんばって聞き取ろう。
また、ゲーテと人形劇の関係についても『詩と真実』には重要な記述がある。映画の中で人形劇が登場するが、それは映画制作者の思いつきではないのだ。


詩と真実 (第1部) (岩波文庫)
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ゲーテの代表作『ファウスト』は本作品とはまったく関係ないように思われる。ファウストの構想が始まったのは『ウェルテル』以降だからだ。しかし映画内で描かれるあやしい薬、ヴァルプルギスの夜を思わせる乱痴気騒ぎ、窓の外から聞こえてくる教会のコーラス等、『ファウスト』を想起させる描写は多い。もちろん映画製作者たちは意識してやっているのだろう。

ファウスト〈第一部〉 (岩波文庫)
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『ファウスト』は最近では、人気になったアニメ『魔法使いまどかマギカ』でもそのモチーフが多用された。二次創作を深く知ることができるかどうかは、結局はそれらの「おおもと」になる古典をちゃんと知っているかにかかっていると思う。このエントリーを最後まで読んでくれたあなた、ゲーテという入り口から古典文学の世界に足を踏み入れてみてはいかがだろうか。

『ソーシャル・ネットワーク』

@ユナイテッド・シネマ豊洲

遅ればせながらリバイバル上映で観た。ネット配信とかレンタルもいいんだけど、大きなスクリーンで、広い空間で映画観るの好きなんですよね。それに映像自体ももともと大きなところで鑑賞されるのを前提に作られたのだろうと考えると、家の小さなディスプレイで何かしながら見てしまうのがもったいなくて。

facebook周辺のアメリカIT青春物語。さすがにfacebookを知らないと面白くないと思う。それからネット上の「サービスをリリースする」とか「実装する」とか、冒頭の大学のネットワークからいろんなデータをぶっこ抜いてくるシーンとか、それなりに興味がないとこれまた面白くないように思う。

事実にフィクションが多分に混入しているのだろうが、映画を観るとアメリカにおける「ソーシャル・ネットワーク」成立の背景にアメリカ有名大学の「クラブ」「ソサイエティー」があることがよくわかる。同時に日本のネットユーザーがfacebookを「匿名性がない」といって敬遠するのがどれだけ的外れなことなのかもよくわかるのだが、ひょっとしたらそれは本当にfacebook型のソーシャル・ネットワークが日本に向いていないということなのかもしれない。しかしmixiだって以前は友人からの招待がなければいけなかったはずなのだが、あの思想はどこへいったのかな。

日本で同じようなIT青春映画を作ろうと思ったら、主役は堀江貴文とか松島庸の物語になるのかな。最終的に日本社会の因習に負けてしまう映画にならないようにしようと思うと西村博之になってしまうのかな…とかいいつつ三木谷浩史物語とかになってしまいそうな予感もある。

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『キャプテン・アメリカ・ザ・ファースト・アベンジャー』

@ユナイテッド・シネマ豊洲

2Dで観た。アメコミヒーローものは好きだが3Dの必要性を感じず。3Dは鑑賞料金が高くなければ観てもいいんだけど、高い金出して観るほどの付加価値ではない。

キャプテン・アメリカがアメコミヒーローだということは知っていた。アメコミヒーローがたくさん出てくる格闘ゲームとかで存在を知っていたのだった。どんな技を使うかとか、どんな出自なのかとかは全く知らなかったのだが、映画は原作事前情報ナシで観た方が面白いので事前知識ゼロで鑑賞にのぞんだ。

舞台は第二次世界大戦。アメリカはすでに参戦済み。ひ弱だが愛国心の強い青年が改造手術を受けて「ヒーロー」となる。はじめはプロパガンダに利用されるだけだが、やがて最前線でその力を発揮するようになる。主役は紆余曲折あって当面の敵の野望を阻止するのだが、物語の最後、しかもスタッフロールのあとに今回の映画が壮大なる予告編だったことが告げられる。つまり続編がある。しかもこの続編は単なる続編ではない。僕はその続編を見たいと思ったが、それは人それぞれであろう。
鑑賞後にWikipediaを読んで、その続編が『キャプテン・アメリカ』の歴史からいっても正当性のあるものだということがわかったが、それを事前に知っていたら映画を楽しめたかは疑問だ。というのは、アクションシーンは特筆すべき点はなかったと思うし、敵は第二次世界大戦ものお得意のナチス・ドイツである。キャプテン・アメリカ誕生の経緯や物語を知っていたら映像作品としては純粋に楽しめていなかったかもしれない。Wikiを見る限り、『キャプテン・アメリカ』をめぐる社会史なんかを考えると面白そうではある。

てっとりばやく楽しむアクション映画としては一級品、しかし原作が古いだけあって物語の筋は陳腐というよくあるハリウッドヒーロー映画。暇つぶしには最適。

『キャプテン・アメリカ・ザ・ファースト・アベンジャー』公式サイト

Wikipedia: キャプテン・アメリカ

キャプテン・アメリカはなぜ死んだか 超大国の悪夢と夢
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キャプテン・アメリカ [DVD]
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NHKスペシャル「きこえますか 私たちの歌が〜被災地 のど自慢〜」

@NHK総合 2011年9月23日(金) 19時30分〜20時45分

 9月11日は日曜日。いつもの日曜日のようにNHKで正午のニュースを見ていた。ニュースが終わるといつものように「のど自慢」が始まる。僕が子どもの頃から変わらない風景だ。そしていつもならそこでテレビから目を離す。僕はいつものようにし、そして音だけを聞きながらたぶん皿を洗ったり部屋を片付けたりし始めた。聞き取りやすい発声のNHKの男性アナウンサーが、今日が震災からちょうど半年であること、通常ならば出場者は開催地の地元から選ぶのだが今回は福島、宮城、岩手の三県で予選会を行ったことを伝えた。

 歌い終わった人は、ふつうなんらかのテレビ向けのネタを持っていなければすぐに退出する。しかし今回はほぼ全員が震災にまつわる自らの身の上を語るのだった。一人目が『北国の春』を歌う。「あの故郷へ帰ろかな、帰ろかな」という歌詞は、その文字が意味するところ以上の響きをもっていた。そのあと何人目だったか、漁師だという男性が歌った歌は「おかには住めない」という歌詞だった(*西方裕之『海の祈り』 作詞: 星野哲郎)。福島から来た年配の男性は「あの故郷へ帰ろかな 帰ろかな」と歌った(*山本謙司『津軽慕情』 作詞: 平山忠夫)。
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 出場者の多くは家をなくし、親族や友人をなくした人々だった。しかし何よりも大きい故郷をなくしたと感じているのだ。命と違い、たしかにそこにあるのにそこには戻れないのである。

 今回のNHKスペシャルは『のど自慢』に出場しようとする人々を追ったドキュメンタリー。『津軽慕情』を歌った男性の牛たちへの愛情や、本選出場ならなかった男性の親友への思い。数名の『のど自慢』にかける思いを追いかけるうちに、また『のど自慢』本放送を見たときのように涙がこぼれてきた。
 あるはずなのにないものを描いたり説明するのは難しい。この番組は人々の「なくしてしまったものを想う気持ち」をよく描き出していたように思う。

『ゴーストライター』

見た映画の感想も、以前のように書いていこうと思います。更新のない間も実は書くことは書いていたのですが、とりとめもなく書いているうちに極度のネタばれ・本筋からの脱線ということが続き、お見せする気にならなくなっているという状態でした。
そこで今更ですが、自ら字数制限を設けようと思います。Twitterの制限文字140文字×5回分で700文字でいってみようと思います。

ヒューマントラストシネマ有楽町

 若き日のオビ・ワン、ユアン・マクレガー並びに五代目ジェームス・ボンドことピアース・ブロスナンが主演。ピアース・ブロスナンが政界を引退した前首相。彼が自叙伝を出版するにあたってゴーストライターとして起用されるのが、ユアン・マクレガー演じる男だ。
 物語は前任の”ゴースト”の溺死場面から始まる。契約で定められた執筆場所は孤島であり、陸との船での移動中何らかの原因によって転落死したようだ。後任者の仕事は前任者の原稿チェックと加筆だ。しかし執筆途中で見つけた前任者の取材メモと原稿の内容、前首相自身が語る略歴には食い違う点がいくつもある。不審に思い、あるいは純粋な好奇心にかられ彼は独自に動き始める。前首相、夫人、側近、元閣僚、恩師...様々な人々の思惑が絡み物語は意外な結末へ向かう。

 この映画の存在を知ったとき、その題名からして文筆を生業とする者の悲哀のようなものが描かれているのだと思った。しかし上記のように、この映画はミステリーである。そしてとても質が高い。はじめにどう考えても殺人によるものとしか思えない死亡事故が起こるが、しかし物語が結実する最終地点はそこではない。物語終盤には今度は明確な殺人事件が起こるが、それも最終目的地ではない。最後の5分までこの映画の主人公が解き明かしつつあるものが何なのかはわからないのだ。トニー・ブレアを思い起こさせる前首相と、ミステリー御用達である孤島という舞台、そして孤島への出入りという動きが見事にかみ合っている。最後に観客はエンディングロールを見て、”ゴーストライター”の悲哀を知るのだ。一場面とも見逃すことを許さないすばらしいエンターテインメントだ。

映画「ゴーストライター」オフィシャルサイト

ゴーストライター (講談社文庫)
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大地が揺れ、風が吹き

あれから6ヶ月が過ぎた。半年は長いようで短い。もう6ヶ月、いや6週間、6日しか経っていないような気さえする。その間、ありとあらゆる場所で「節電」が行われ、様々な経済活動が被災地への募金と紐づけられ、今まで放射線のことを一秒たりとも考えたことのなかった人々が毎日「汚染」を議論するようになった。日本は大きく変わった、いや変わらざるを得ない。変わらない様々な局面の旧体制ぶりに人々は不満を募らせ、新たな自然災害に対する不安な気持ちは日増しに高まっている。

しかし、震災前と比べて僕の生活で何か変わったことがあっただろうか。

思い返してみれば、何も変わっていなかった。去年度に引き続き3校に勤務していてそのうちの1校は別の学校になったのだが、4月になれば新学期が始まり、月に2回DJをし、映画を見、美術館に行き、夏が来れば富士山に登った。去年度から引き続き教室で顔を合わせる学生・生徒たちはそれぞれ一年歳をとり、教えているドイツ語や英語の文法は何も変わらなかった。

同じ世界に住む家を失い、仕事を失い、学校を失い、そして大切な家族の命を失った人々がたくさんいるのに、僕は物理的には何も失わなかった。おそらく、ただ心だけを失った。

震災当日、僕は自分の家にはたどり着けなかったが、なんとかその日の内に姉の家まで行くことができた。家族や身近な人々の安全を確認した。次の日には被災地にいた後輩の無事を確認できた。面識はないがネット上でつながっている人々の安全もどんどんわかった。そのたびに失われた世界が少しずつ取り戻されていくのを感じた。大切なあなたが生きていることを知ったとき、僕は世界の人々が生きていることを実感する。大切なあなたを愛するとき、僕は世界を愛しているのだ。あなたが悲しんでいたら、世界中の悲しみを引き受けよう。今まで漠然としていた自分と世界との繋がり方が、あれから明確になってきた。教室にいるとき僕は世界を相手に授業を、富士山では世界を背負って頂上まで案内したい。

2011年9月11日は、世界的には同時多発テロから10年という日である。僕が教室で教えている中学生たちのほとんどはそれを記憶していない。東日本大震災の起きた2011年3月11日もそのうちそういう日付になる。実際1997年生まれの彼らは阪神・淡路大震災の後に生まれた子どもたちで、当然自分の記憶としてそれを知らない。今回は原発事故があり、これは今後100年単位で日本が抱えていかなければいけないことなのでこれまでとはまた違うだろうけれど、やはり時間は動いているのだ。

節目に何かを書き残したかった。細かいことを色々書きたいが、書きたいことを全て書こうと思うと6ヶ月は長い。今回はここまで。

思想地図β vol.2思想地図β vol.2
著者:東浩紀
販売元:合同会社コンテクチュアズ
(2011-09-01)
販売元:Amazon.co.jp
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『思想地図β vol. 2』は「震災以後」特集。「震災でぼくたちはばらばらになってしまった」で始まる東浩紀の巻頭言は他の震災関連本とは一線を画す。「vol. 1」にもあった猪瀬直樹・村上隆・東浩紀鼎談、また津田大介による被災地を丁寧な取材した情報に基づく記事は必読。3.11以前と以降のGoogle検索上位キーワードやiアプリDL数のランキング比較も貴重なデータだ。

『ナルニア国物語/第3章: アスラン王と魔法の島』

公開2日目レイトショーで鑑賞@ユナイテッド・シネマ豊洲

ナルニア3作目原作の原題は"The Voyage of the Dawn Treader"。原作邦訳は『朝びらき丸 東の海へ』だが、なぜだか映画の邦題は変更されている。英題はそのままの様子。『ナルニア国ものがたり』が好きな日本人はそのまま瀬田貞二による翻訳のファンであろうから、少々残念だ。

今作は3D上映だったが、はっきり言って3Dにする必要はない。3Dは字幕つきだと見にくいし、値段も高いので通常上映があるならそれで十分。ところでユナイテッド・シネマの3D上演形式は簡単なRealD方式なのでメガネが軽くてとてもよろしい。いままで見た3D映画は全部XpanD方式だったが、あれは重くてデカくてつらかった。RealDのメガネは使い捨てなのだが、再利用もでき、ユナイテッド・シネマでは次回持参すれば3Dメガネ料金もかからないそうだ。これから3D映画は全部豊洲で見よう。

さて内容だが、邦題同様色々と変わっている。原作から削られているシーンはかなりあるし、原作にないシーンもけっこう加えられている。しかし、製作側に原作リスペクトの気持ちがちゃんとあることがエンドロールで明確に知らされる。今作初登場のユースチスは容貌・キャラクターとも原作にかなっていて素晴らしかったし、朝びらき丸や初めは姿の見えないあいつらも原作の挿絵そのままである。そして新たに加えられたシーンも原作の思想に反するものではない。今作で心がしんみりとするシーンと言えば、原作を読んだ人なら1箇所か2箇所思い浮かべると思うのだが、映画ではそれらのシーンは細部まで描き込まれてとても良くなっている。帰宅後原作を読み返してみたが、映画の演出が正解であることが再確認できた。

原作が好きだとついつい原作と映画化作品の比較をしながら鑑賞してしまいがちになる。僕はいつの間にかそういう束縛から解放されていたが、いままさに束縛と書いたけれども、そういう視点から解放されると原作モノの映画は楽しめるようになるんじゃないだろうか。

まあ原作ファンだからという理由で1作目を見て、そして2作目も見たという人なら最終回まで付きあえばいいんじゃないだろうか。『馬と少年』はアニメーションがいいんじゃないかな、と個人的に思う。ディズニーが本気でやれば良いアニメ作品になると思うのだけれど。

朝びらき丸東の海へ (ナルニア国ものがたり (3))
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朝びらき丸東の海へ―ナルニア国ものがたり〈3〉 (岩波少年文庫)
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朝びらき丸 東の海へ (カラー版 ナルニア国物語 3)
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『180°South』

@シネクイント

封切りで映画を見るのは久しぶり。『Rock & Snow』誌のDVDレビューでもおなじみ、雪山出版社長の榎戸雄一氏と観た。(*雪山出版ice_jpのホームページ ice_jp)榎戸さんはガイドの1年先輩。前回一緒に観たのは『雷桜』。あれはまじでクソ映画で榎戸さんなら隣で寝ていた。

今回は面白いといいなと思いつつ鑑賞。富士山頂での写真を窓口で見せると鑑賞料金が1000円に、ということだったので見せる。iPadを窓口で提示するの恥ずかしかった。それから、ガイドの後輩の植田が彼女を連れて見に来ていた。

映画の内容はこういうもの。
・公式サイト 「この映画について」

サーフィンシーンや登山のシーンはきれい。それなりに。おまぬけ道中っぷりも失笑もののおもしろさ。

イヴォン・シュイナードとダグ・トンプキンスの話はまあともかく、アメリカ人は自然と向き合ったり、どう向き合うか考えたりしてきた時間がまだまだ少ないのだなというのが鑑賞後の感想だ。彼らの歴史はスタートから開拓≒開発≒自然破壊の歴史だから、他の文明や文化と同じように考えられなくても仕方ないかもしれない。

そんなレベルのエコロジー議論なら、問題意識を持っている日本人はし尽くしたんじゃないかと途中で呆れたが、そういうことを全く考えたことがない人たちには入門にふさわしいのかも。土曜日の午前中からわざわざ映画館に来るような観客にはどうだっただろうか。気になったのはキャップからシューズまで全てpatagoniaで固めたpatagonia教信者みたいな人が散見されたこと。対照的にThe North Face教信者はいなかった。映画を観る限り教祖の姿勢はpatagoniaの方がゆるそうだったので興味深かった。

エンドロールの後、出演者のジェフ・ジョンソンが現れた。2回目の上映前に挨拶をする予定だったところ、急遽1回目の上映後にも登場することになったみたい。

映画のあと食いに行った、ライスを山盛りにカレーが旨かった。

180 Degrees South: Conquerors of the Useless
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ロック&スノ-2011春号
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